今回は法人化における会計について皆さんにご説明させていただきたいと思います。会計に関しては専門的な部分も多く、専門家に力をお借りすることになるかもしれませんが会員の皆さんにも基本的な部分に関してお話ししておきたいと思います。
1. 作成しなければならない書類
一般社団法人においては会計書類を作成することが法律で義務付けられています。
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① 貸借対照表
貸借対照表とは一定時点における団体の財政状態を示す一覧表のことです。団体の「資産」と「負債」「資本」を対照表示することによって、団体の財政状態を明らかにする報告書です。資金の調達源泉と、資金の用途が記されています。貸借対照表は、資産、負債、資本の分析をすることで、団体の安全性や手元流動性を判断することができます。 |
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② 損益計算書(正味財産増減計算書)
損益計算書とは、団体の会計期間(通常は1年または半年)の運営成績を表す計算書です。1年間、収益と費用を記録・計算して、収益から費用を差し引くことによって、当期純利益(儲け)を算出するしくみです。差し引いたときの符号がプラスなら利益(儲かった、黒字)、マイナスなら損失(損をした、赤字)というように利益と損失がわかる計算書です。
これらの書類は10年間の保存が義務付けられていて、総社員の10分の1以上の議決権を有する社員型の閲覧請求があれば、それに応じなければなりません。会計の透明性が厳しく要求されており、理事だけでなく士会の運営にかかわるスタッフは今まで以上に会計に対する高い意識が要求されることになります。 |
2. 税務に関して
一般社団法人は営利型と非営利型に分けられそれぞれ非営利型の一般社団法人については収益事業のみが課税対象となります。会員の会費はそれを別に定める旨を定款に記載しておくことで非課税扱いとなります。しかし研修会の参加費等に関しては例えそれが公益性の高いものであっても収益部分については課税対象となります。現在県士会主催の研修会の参加費が会員の場合は、ほとんど無料なのはこういった税務を意識している部分もあります。つまり県学会などでも参加費を高く設定して、参加者だけが負担するような形式をとってしまうと利益が発生した場合には、課税対象になってしまうのです。しかし公益認定を受けて公益社団法人として登録されると、こういった公益目的事業に関しては原則非課税扱いとなります。 |
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5回にわたって法人化に向けてのお話をさせていただきました。ひとまずこのコラムは終了とさせていただきますが他県士会の動向等、新しい情報がありましたら随時皆さんにお伝えしていきたいと思います。県士会の新しい舟出に向けてこれから総会等でも説明をさせていただくことになりますが、よろしくお願いいたします。 |
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